特定非営利活動法人 SEEDS Asia

フィリピン事業概要(2014年~2017年)

■フィリピンで事業を開始したきっかけ
フィリピンは7,109の島から成る国で、環太平洋プレート上に位置することと、熱帯低気圧が発生しやすい海が近くにあることから、地震や火山噴火、台風の被害に見舞われやすい地域です。特に地球温暖化が進む近年は大規模な災害による被害が増加傾向にあります。
そこでフィリピン政府は2010年に「防災法」を制定し、国レベルから市町村レベルまで徹底した防災体制を推進する方針ですが、まだまだ具体的な防災体制は整っていません。
そのような状況にある中、2013年11月にフィリピン中部を襲った台風ハイエンは死者6,000人以上、負傷者約29,000人という甚大な被害を及ぼしました。この被害者数は、住民による災害への理解や備えがあれば格段に減らせたはずだと言われています(Global Risks 2014, WORLD EONOMIC FORUM)。
台風ハイエンの記憶が新しい今、二度と同じような被害を繰り返さないために政府・民間ともに防災教育や学校での災害リスク管理への意欲が高まっています。SEEDS Asiaでは台風後に現地入りし、支援の行き届いていない地域で教材や防災知識に関するパンフレット・ポスターを配布したり、教育関係者に対して防災教育に関する講演をしたりといった活動をしてきました。そこで見えてきた防災教育や学校防災管理のモデルづくりへのニーズを受け、今後は現地の教育機関と協力して、学校教育を通じた、地域の人々にも浸透する防災教育と防災管理推進に取り組んでいきます。

 
フィリピン事業概要1

 

■フィリピンでの事業内容

台風ハイエン被災地における学校再開支援(2014年1月~4月)
台風ハイエンはレイテ島に壊滅的な影響を及ぼし、国内外からの支援も同地域に集中しています。一方で、隣のセブ島においても北部を中心に被災した地域がありましたが、まだまだ支援が十分に行き届いていないというのが現状です。SEEDS Asiaはセブ島北部の被災地に出向き、ニーズの調査を行った上で、いち早く生徒が学習を再開できるように教材の配布を実施しました。

 

フィリピン事業概要2

 

教育関係者との防災教育に関する知見の共有(2014年3月~4月)

フィリピン教育省からの要望に応じて、セブ州を抱える第7地方事務所管轄下の教育関係者に対して防災教育に関する講演を行いました。日本の阪神淡路大震災や東日本大震災後の復興や教訓について共有するとともに、SEEDS Asiaが取り組んできた防災教育の重要性について現地の教育関係者に認識してもらう機会となりました。
また、フィリピンの教育関係者に日本の防災教育を実際に見て体感してもらう目的で、フィリピン教育省次官補と第7地方事務所の担当者を日本に招へいし、阪神淡路大震災後の神戸や東日本大震災後の気仙沼等の視察研修とセミナーを実施しました。阪神淡路大震災からは20年経っており、教育機関だけでなく行政機関や民間団体も、教訓に基づいた防災教育を進めています。また、東日本大震災の被災地は2011年の地震・津波の発生から数年経ち、台風ハイエンの被害を受けた直後のフィリピンの参考になるような活動が展開されています。それらの実践を目の当たりにすることで、フィリピンの教育関係者が防災教育のアイデアを得、今後の活動に反映していく意欲が増す契機となりました。

 

フィリピン事業概要3

 
地域との連携による防災教育推進(2014年11月~)

2013年11月に発生した台風ハイエン(ヨランダ)後、2014年の1月~4月にかけて、SEEDS Asiaでは、ダナオ市、ボゴ市、ダンバンタヤン市(セブ州)の被災地域のある学校に緊急支援として、先生や生徒向けに学習支援キットとともに、防災に関するポスターやパンフレット”How Safe Are You?” (安全のためには?)という防災教材の配布と教員に対する講習を実施しました。

フィリピン事業概要4

 

 
しかしフィリピンでは防災教育を継続的に推進する体制と実情に即した防災教育モデルがないというのが現状で、この状況を改善し、防災に対応する力を養うには長期に渡る取組みが必要であることが明らかになりました。その要因として、「防災法」の方針が政策に反映されていないために教育省内での人材や知識が不足していること、学校の教職員が効果的な防災教育メソッドを持っておらず教育内容も流動的であること、そして被災した時の学校の役割が明確になっていないこと等が挙げられます。そうしたことから、被災地では甚大な被害を受けただけでなく、避難所として使用されている学校で早期の教育再開を目指す学校教職員と、居場所を失った地域の人々との対立等といった別の問題も発生していました。

 

こうした経緯により、SEEDS Asiaは、JICA、フィリピン教育省、兵庫県教育委員会と協力し、2014年11月に「セブ州内における地域との連携による防災教育の技術移転事業」を開始しました。

 

フィリピンでは教育省、そして日本では災害の教訓を活かした防災教育のノウハウを持つ兵庫県教育委員会、JICA関西の協力を得て、地域と連携した学校防災教育の実践モデルと防災教育体制の確立に努めています。兵庫県教育委員会の経験を踏まえ、日本の災害経験や教訓の継承の重要性について共有したり、行政関係者との話し合いの場を設けたりすることで、今回の台風被害からのよりよい復興を目指した防災教育の実現を目指します。

 

SEEDS Asiaはこれまでもミャンマーやベトナム等で学校を中心とした防災教育に取組んできました。その知見を活かし、教育省の防災推進体制を整えると同時にフィリピンの特徴に特化したモデルを各地に広めていきます。

 

・事業名:セブ州における地域との連携による防災教育の技術移転事業

・実施期間:2014年11月~2017年3月

・事業提携先:フィリピン教育省、教育省第7地方事務所、兵庫県教育委員会、JICA関西

・上位目標:セブ州内で持続的に地域との連携による防災教育が実施される

・プロジェクト目標:セブ州内の防災教育推進校において地域との連携による防災教育が実施される

 

・主な対象:セブ州教育省第7地方事務所管轄内の幼稚園~中高校まで(4才~16才)
セブ州ダナオ市、ボゴ市、ダンバンタヤン市の防災モデル6校とセブ州マンダウエ市、ラプ=ラプ市、タリサイ市、ナガ市、カルカル市とトレド市の防災モデル推進校7校

 

methodology

 

・アウトプット
1. 教育省第7地方事務所において地域との連携による防災教育の推進体制が整う。
2. 台風ヨランダに被災した学校を擁する教育省3地区事務所(ダナオ市、ボゴ市、セブ州)管轄内において、地域との連携による防災教育の実践モデルができる。
3. セブ州内の各教育省地区事務所により指定された防災教育推進校7校において、地域との連携による防災教育が実践できる教員が育成される。
4.国レベルで地域との連携による防災教育に関する知見が共有される。

 

output

 

 

 

■フィリピンについて
フィリピン(正式名称:フィリピン共和国)は、東南アジアに位置する太平洋上の島嶼国家です。各海を挟んで日本や台湾、マレーシア、インドネシア、ベトナムに隣接しています。人口が約1億人で土地面積が約30万平方キロメートルと、それぞれ日本の約8割程度です。

 

300年に渡るスペイン統治時代の影響で国民の90%以上がキリスト教徒であり、アジアで唯一キリスト教徒が大部分を占める国家です。主要産業はサービス業で、アメリカに約50年占領されていた歴史もあり英語が堪能な国民が多いため、英語圏の先進国向けコールセンター設立が盛んです。

 

参考:外務省ホームページ(http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/philippines/data.html#section1

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2016/02/22