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子どもの安全は大人たちの眼差しの先にある:防災リレー講座 第1回 実施報告


2025年8月1日(金)、鳥羽商工会議所かもめホールにて「鳥羽市 防災リレー講座(第1回)」を開催しました。本講座は、鳥羽市と認定NPO法人SEEDS Asiaが連携し、「地域への愛着を基盤とした学校・地域安全モデル事業」の一環として実施しているもので、今年度から来年度にかけて全12回の連続講座の初回となります。


第1回の中心となるテーマは「防災と地域への愛着形成」でした。
題目は「子どもの安全は大人たちの眼差しの先にあるー子どもの健康・安全統制感とソーシャルサポート認知の関連性ー」ということで、講師には、大阪教育大学 教授 藤田大輔先生をお迎えしました。


藤田先生は、2001年に発生した大阪教育大学附属池田小学校無差別殺傷事件の6年後に同校の校長に就任され、被害児童のご家族との対話や事件後の危機管理体制の再構築に尽力された先生です。現在は、同大学の学校安全推進センター長を務められるとともに、中央教育審議会委員、日本安全教育学会理事長、文部科学省の有識者会議委員など、学校安全の分野で国内外において幅広くご活躍されている方です。


ご講義では、「大人の支えは、子どもの『自分を守る力』にどう影響するか?」という問いを軸に、子どもの健康・安全統制感やソーシャルサポート認知の観点から、子どもたちが自分自身を守る力を育むために、家庭・学校・地域の大人が果たす役割や「安全をみんなでつくっていく」ということの重要性や「安全」に対する視点の転換など、具体的な教材や事例を含め丁寧に解説いただきました。


会場およびオンラインをあわせ、鳥羽市教育長を含め総勢65名の方々が参加されました。講演後には、教育と防災の行政の方々にもパネリストとして参加いただきながら、質疑応答をおこないました。

講座終了後に実施したアンケートでは、すべての回答者が「非常に有意義/有意義な機会だった」と回答しており、多くの参加者が防災や子どもの安全に関する新たな知見を得たことも確認されました。また、自由記述では、講座を踏まえて「今後、具体的にどのようなことを実践したいか」について質問sたところ、多くの参加者から具体的で前向きな意見が寄せられました。

その中で、最も多く挙げられていたのが「子どもたちや地域の方々と行う安全点検」でした。特に注目すべきは、その「安全点検」に対する捉え方の変化です。先生の話を聞いて、従来の「危険マップ」としての脅しや大人への信頼を失う一方的なものではなく、「安全協働マップ」として、子どもたちや地域住民とともに“どうすれば安全な環境がつくれるか”を考え、実践していくことが重要だという視点が多く共有されました。このように、安全に向かって協働するプロセスそのものが、子どもたちの安心感につながり、大人からのあたたかな眼差しを感じる機会となる。そうした取り組みの積み重ねが、地域の持続性を支えることにつながるという考えに、多くの共感の声が寄せられました。


鳥羽市との事業では、まさにこのような観点を基盤として事業を展開し、要望・状況に応じて学校別で後方支援もしていく予定です。そして、今後も本講座では、多様な視点から子どもたちの安心・安全について学び、行動につなげる機会を提供してまいります。

本事業はJANPIA・JPFのご支援を通じて実施しています。講師としてご登壇いただいた藤田先生、運営・広報にご協力いただいた鳥羽市や関係機関のみなさま、そして会場・オンラインにて本リレー講座にご参加いただいたみなさまに心より感謝を申し上げます。


参加者のアンケート結果はこちらからご覧いただくことができます(PDF)。