活動ブログ 2025年08月31日

兵庫県と協働した学校防災事業：最終成果報告会への参加と帰国のご報告

このたび、フィリピンでのミッションを終え、兵庫県教育委員会職員1名、学校・震災支援チームEARTHの先生と共に無事帰国いたしました。

本事業は、台風ヨランダ（ハイエン）の甚大な被害を契機に、阪神・淡路大震災以来、先進的に学校防災を推進してきた兵庫県が提案しSEEDS Asiaとの協働のもとで実施してきた事業です。兵庫県教育委員会教育企画課の皆さま、そしてEARTHの先生方の長年にわたるご指導・ご協力に、心より感謝申し上げます。

8月25日、JICA草の根技術協力事業「フィリピン国中部ビサヤ地方における学校防災強化・推進事業：Strenghening and Promoting School-based Disaster Risk Reduction in Central Visayas」の最終成果報告会が開催されました。報告会では、兵庫県教育委員会より「30年にわたる兵庫県の学校防災の取り組み(Hyogo Prefecture’s School-based DRR over Three Decades)」が発表され、三十年の経験と歩みが共有されました。また、EARTHの先生からは、「地域の災害特性を知り学校が地域と家庭を繋ぐ防災意識を高める取組：気象災害モデル校として実践から見えてきたこと(Initiatives to Understand the Local Hazard Profile and to Raise DRR Awareness by Linking the Community and Families: What We Came to See as a Meteorological Hazard Model School) 」と題した学校での取組みが紹介されました。あわせて、ボホール島の事業モデル校を訪問し、現地の先生方や子どもたちの変化、環境的変化を実際にご覧いただき、兵庫県からのお二人より励ましのお言葉をいただきました。また、現地側からは、これまでの活動の確かな成果と強いオーナーシップが力強く示されました。

本事業を通じて、約10年にわたり共に歩んでくださったフィリピン教育省（国・地域・州・地区事務所）および各学校の皆さま、JICA（関西・フィリピン事務所）の皆さま、イナバンガ北中央校の先生方・児童生徒の皆さま、イナバンガ町長をはじめとする各自治体の皆さまにを始め、ご協力いただいた皆さまに、改めて深く感謝申し上げます。また、最終成果報告会には、セブ総領事館より松尾総領事にご臨席いただきました。日本の各機関が官民一体となった「オールジャパン」としての連携・協力の姿をより多くのフィリピンの方々にお伝えすることができました。

なお、本事業はJICA草の根技術協力事業の「地域活性化枠」として実施して参りました。フィリピンへの一方的な技術供与ではなく、フィリピンは地震・火山・台風・洪水・土砂災害など、日本と共通した災害リスクを持ち、学校防災に係るノウハウの蓄積や能力強化につながる多くの学びを事業の実施を通じていただいてきました。また、現地派遣にご協力いただいたEARTHの先生方には、フィリピンでの経験を子どもたちに共有され、多文化理解の授業にご活用いただいたり、英語を活用した防災授業の実施を実施いただくなど、双方向の交流と学びが行われてきました。また、SEEDS Asiaとしても「フィリピン学校防災トーク」といった国内向けのオンライン講座を開催するなど、地域を超えた広がりに努める他、本案件に派生する形で、気象教育のさらなる推進（WNI気象文化センター支援）と手法の開発、兵庫県内の高校生が現地に訪問し、現地視察や気候変動への適応について考える機会の創出にもつながりました（一般財団法人東京倶楽部支援）。

本事業は一区切りを迎えますが、この10年で生まれた両国間のつながりと学びの芽を大切に育てていきたいと考えています。今後もモデル校を起点に、中部ビサヤ地方から全国へ、そしてアジアへと広がり、地域に根ざした学校防災教育がさらに深化していくことを願っています。

さまざまな形でご支援・ご協力いただきました皆様、ありがとうございました！

今回の最終成果報告会を終えて、兵庫県教育委員会、学校・震災支援チームEARTH、JICAフィリピン事務所の関係者の皆さまからいただいた感想を動画にまとめました。ぜひこちらもご覧ください。

みなさまのご協力、本当にありがとうございました！
Daghang salamat!🌱