神戸からつなぐ ― 阪神・淡路大震災30年とSEEDS Asia20年、その歩みと未来 ―記念イベント開催報告
2025年12月17日(水)、SEEDS Asiaは、シマブンビルBBプラザ シマブンホール(神戸市)にて、記念イベント「神戸からつなぐ ― 阪神・淡路大震災30年とSEEDS Asia20年、その歩みと未来 ―」を開催しました。

本イベントは、以下の3つの目的のもと開催しました。
- 阪神・淡路大震災から30年という節目に、団体設立の原点となった震災の経験と教訓をあらためて振り返り、学校防災・地域防災の歩みを共有すること
- SEEDS Asia設立20周年を2026年に迎えるにあたり、国内外でのこれまでの活動を振り返り、その成果と課題を次の実践・改善へとつなげること
- JICA草の根技術協力事業として約10年にわたり兵庫県教育委員会と共に取り組んできた、フィリピンにおける学校防災事業の成果等を報告し、フィリピンと日本の共創的派生的な学びを共有すること
当日は、ドナー機関や国内の協働機関、行政関係者、教育関係者、地域で活動を共にしてきた皆さまなど、総勢40名の方々にご参加いただきました。
開会・主催者挨拶
冒頭では、SEEDS Asia理事長のショウ ラジブより主催者挨拶を行い、阪神・淡路大震災の経験を原点として、神戸からアジアへと広がってきたSEEDS Asiaの活動の背景や印象的な事業を振り返るとともに、本イベントに込めた思い、そしてこれまでご支援・ご協力をいただいてきた皆さまへの感謝の言葉が述べられました。

続いて、JICA関西センター市民参加協力課の大井明子課長より、ご来賓代表としてご挨拶をいただきました。NPOと国内自治体との連携を通じて、海外においても国レベルでの変化を生み出してきたSEEDS Asiaの取組みやアプローチを後押しする、心強いお言葉を頂戴しました。

SEEDS Asia20年を迎えて:国内外での実践から
続いて、SEEDS Asiaがこれまで国内外で取り組んできた防災・減災教育、学校防災、地域防災の実践について、動画を交えて共有しました。
次に、講演として
- 兵庫県教育委員会事務局 教育企画課 教育企画班 指導主事 川嵜 冬聖 様より、
「30年にわたる兵庫県の学校防災の取組み」 - SEEDS Asia 国内・海外統括 有馬 沙紀より、
「フィリピンにおけるJICA草の根技術協力事業 完了報告」 - 兵庫県立姫路商業高等学校 地域創生部3年生の小谷 菜々美 様、ならびに顧問の北川 欽一 先生より、「フィリピンの交流から得た気候変動・防災の学びと、これから」について、お話をいただきました。



パネルディスカッションⅠ:経験と教訓を未来へ(地域からの声)
続くパネルディスカッションⅠでは、国内の各事業地からのゲストを迎え、意見交換を行いました。

一般社団法人気仙沼まちづくり支援センター 代表理事 塚本 卓 様
丹波復興女性プロジェクト会「ぽんぽ好」 代表 今井 頼子 様
長野市長沼地区住民自治協議会 元長沼地区復興対策企画委員会 委員長 柳見澤 宏 様
鳥羽市 総務課 防災危機管理室 副室長 澤田 将宏 様
鳥羽市教育委員会事務局 学校教育課 指導主事 中村 文典 様
モデレーター役:
SEEDS Asia 事務局長 大津山 光子
ディスカッションでは、
- SEEDS Asiaと共にどのような活動を行い、個人や地域、社会にどのような変化が生まれたのか
- SEEDS Asiaとの連携を通じて得られた教訓や、難しさを感じた点
などをテーマに、具体的な事例紹介と率直な意見交換が行われました。
パネルディスカッションⅡ:経験と教訓を未来へ(SEEDS Asia役員)
地域からの声を踏まえ、パネルディスカッションIIでは、仙台防災枠組みに基づく4つの重点活動(SEEDS Asia2030年計画に反映)を基に、「災害リスクの理解促進」や「災害リスクガバナンスの強化」の現況や課題について意見交換が行われました。

SEEDS Asia理事 神戸大学大学院 国際協力研究科 教授 桜井 愛子
SEEDS Asia理事 奈良教育大学 学長補佐(特命担当) ESD・SDGsセンター長 及川 幸彦
SEEDS Asia顧問 株式会社シマブンコーポレーション 取締役会長 島田 博夫
モデレーター役:
SEEDS Asia 理事長 慶応義塾大学 湘南藤沢キャンパス メディア政策研究科 教授 ショウ ラジブ
第3回世界防災会議で採択された仙台防災枠組の優先行動の一つに、「災害リスクの理解促進」が掲げられています。SEEDS Asiaにおいても、防災・気候変動教育を重点活動の一つとして位置づけ、これまで取り組みを進めてきました。
一方で、人々の暮らしを脅かすリスクは、近年、気候変動やデジタルディバイド(デジタル機器の活用の差によって生じる情報格差)をはじめとして、多様化・複合化しています。現在直面しているリスクと、数年後に顕在化するリスクが異なる可能性も高く、こうした状況の中で災害リスクを理解すること自体が、ますます困難になっているという課題が共有されました。また、これは同時に、防災の担い手を育成していくことの難しさが一層高まっていることを意味している点も指摘されました。
さらに、顧問からは、阪神・淡路大震災や海外における工場被災によって大きな経済的損失が生じた一方で、支え合う仕組みを構築することで、子どもたちの教育を継続し、社会の持続性を確保することができた事例が紹介されました。
これらの議論を通じて、神戸で得られた防災の経験と教訓を、アジアへ、そして未来へとつないでいくという決意が、あらためて示されました。
おわりに
本イベントの開催にあたり、ご登壇いただいた皆さま、ご参加いただいた皆さま、そして準備・運営にご協力いただいた多くの関係者の皆さまに、SEEDS Asiaの共同創始者であり、前事務局長、総務・財務統括の中川裕子より御礼の言葉を申し上げました。

SEEDS Asiaは、阪神・淡路大震災の経験を礎に、これからも地域と共に学び、行動し、災害に強い社会づくりに取り組んでいくこと。さらに、いままでの活動に加え、国内でも若手の人材育成に取り組むべく高校生のスタディツアーや小学生向けのMy Hometownなどの活動の充実により一層励んで参ります。
今後とも、変わらぬご理解とご支援を賜りますよう、よろしくお願いいたします。
本イベントの開催にあたり、会場のご提供ならびに備品の貸し出し等につきましては、株式会社シマブンコーポレーション様より多大なるご協力を賜りました。取締役会長の島田博夫様をはじめ、会場手配等にご尽力いただきました従業員の皆さまに、心より御礼申し上げます。
