伊勢湾台風から66年、鳥羽市神島での防災イベント

2025年9月26日、伊勢湾台風からちょうど66年を迎えた日に、鳥羽市立神島小・中学校運営協議会主催による防災・減災講座「あなたの『防災』を教えてください」という、島ぐるみのイベントが、終日にわたって実施されました。
午前の部:「先生たちの夏休み」と学校の安全点検
午前の部では、先生方が夏休み期間に参加した能登での研修や、松原市・亀岡市での視察研修、防災リレー講座(第1回・第2回)の学びを、わかりやすく子どもたちに紹介されていました。その中で特に印象的だったのは、ある先生の次の言葉です。
「(児童に向かって)みんなの安全を守ることは大人の役割やと思っとった。でもな、それだけじゃなくて、みんながちゃんと自分の安全を守る力を育てていくことが、先生の役割やったんやなって研修に参加して気が付いた」
この言葉を聞いて、SEEDS Asiaが鳥羽市さんと共に進めてきた研修の意図が確かに伝わっているのを実感し、大変嬉しく思いました。
その後、先生と児童・生徒、一部の地域の方々も加わって、学校安全点検が行われました。「みんなの目」で学校の安全を見つめ直す時間が設けられ、学校の平面図に危険個所が可視化されるようになりました。今後、危険個所の改善に向けて、これから子どもたちも一緒に考えていかれるそうです。
昼の部:地域と子どもたちのワークショップ
昼の部では「地域と子どもたちのワークショップ:災害時にみんなの想い・声はどんなふうに役に立つ?」をテーマに、過去の災害事例の紹介と共に、世代を超えた対話が行われました。小学2年生から90歳代のご高齢の方まで幅広い世代が一堂に会し、まちの魅力や課題に向き合いました。
子どもたちからは「獅子舞を見たい」という地域文化への思いや、小学2年生の児童による「みんなの意見を聞くためにアンケートをとってみたい」という主体的な提案もあり、大人たちを驚かせる場面もありました。
夜の部:学校運営協議会での対話
夜の部では、主に神島小・中学校運営協議会を対象に、昼の部でお話した事例の紹介や子どもを含めたワークショップで抽出された課題の要因についてのオープンディスカッションが行われました。地域課題の改善・解決が災害リスクの低減とまちの持続性に直結することを共有し、地域住民、学校、行政(鳥羽市防災危機管理室)みんなで課題の要因にも向き合いながら地域の未来を見据えた対話が重ねられました。
人口減少の中で、災害への備えや対応、そして被災後の地域の持続性を確保することは一層厳しい状況となっています。だからこそ、「安全はみんなでつくるもの」という意識が欠かせません。神島の人口は約200人と少し。三重県内最大の27メートルの津波の襲来が予測される中、地域や学校において、防災を従来の担い手(伝統的参加者)だけに任せるのではなく、島民一人一人が「考え」「話し合い」「やってみる」、そんな主体的な関わりが欠かせません。
ところで、前日(25日)の午後1時ごろから6時あたりまで、神島全体で急な一斉停電がありました。3時ごろに港に着いたのですが、道端のあちらこちらから笑い声が聞こえ、住民の方々の明るさが際立っていました。ワークショップでも、子どもたちからは「神島の人たちはやさしくて、おもしろいところが好き」とのこと。こうした日常のたくましさや地域のつながりこそが、防災の基盤となる地域の力を物語っているようでした。この日、子どもも大人も耳を傾け合って交わした言葉や想い、それ自体が「まちの宝」であることを実感できた一日となりました。
ここに改めてお招きくださった神島小・中学校学校運営協議会の皆様に心から感謝を申し上げますと共に、ご協力をいただいた鳥羽市防災危機管理室の担当職員様、ワークショップへのご参加や全戸への呼びかけなど、あたたかく迎えてくださった神島のみなさまにお礼を申し上げます。
ここからまたさらなる次のステップへとなることを願いつつ!

本事業は、一般財団法人日本民間公益活動連携機構およびジャパン・プラットフォームによる支援を受け、鳥羽市と認定NPO法人SEEDS Asiaが締結した協定に基づく共同事業「地域への愛着を基盤とした地域と学校の連携による学校安全事業」の一環として実施しています。
参考記事