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鳥羽市×SEEDS Asia 第4回防災リレー講座「子どもの安全を守るー性暴力・性被害の観点からー」を実施しました

令和7年11月11日(火)、鳥羽商工会議所かもめホールにて、鳥羽市さんとの共催による「防災リレー講座」第4回 「子どもの安全を守るー性暴力・性被害の観点からー」を開催しました。


今回の講師は、滋賀大学大学院教育学研究科 特任教授であり、SEEDS Asiaのテクニカルアドバイザーでもある 岸田蘭子先生です。岸田先生は、長年にわたり京都市内で校長としてご経験を重ね、性暴力・性被害防止に係る教材開発や指導にも取り組んでこられた、学校現場に精通した専門家です。


■性暴力・性被害の現状・基礎知識

講座ではまず、性暴力・性被害の基本的な分類、被害の特徴、統計データなど、概要や分類について共有がありました。


性暴力・性被害はその「見えにくさ」により潜在化しやすく、声を上げられないまま被害が広がってしまうという課題があります。そのため、普段からの教育や環境づくり、子どものサインに気付く視点、相談体制の整備、学校・家庭・地域がそれぞれ注意すべきポイントなど、事前の備えや初動対応の重要性が強調されました。

講演中の様子


■災害時(避難所)における性暴力の課題

続いて、避難所で実際に起きている性暴力・性被害の事例と背景が紹介されました。

盗撮・痴漢・ストーカー・セクハラといった行為から、強要や見返り要求などの対価型性被害まで、決して許されることのない被害が、避難所という特殊な環境や状況、被災ストレスの中で起きている現状が指摘されました。


こうした事態を防ぐためには、平時からの①意思決定層に女性や多様な主体も参画することで、避難所運営にも参画することができるようになること、②死角や閉鎖空間などを作らない環境整備と、避難所での見回りや巡回などが有効であることが示されました。参加者のアンケートでも「避難所における女性視点の必要性」「対価型性暴力の理解」や「災害時の性暴力を初めて知った」という声が多く寄せられ、学びの大きさがうかがえました。

講座中の会場の様子


■パネルディスカッション:知見をどう備えにつなげるか?

リレー講座では、講義で学んだ内容を実際の現場でどう生かしていくかを考える時間として、パネルディスカッションを設けています。ここでは鳥羽市の防災危機管理室と鳥羽市教育委員会という二つの部局の方にご参加いただき、専門家・市民の皆さんと共に話し合うことで、行政・学校・地域が一緒になって取組みへとつなげていくことを目指しています。

今回のパネルでは、以下のような視点や意見が共有されました。

防災危機管理室
避難所運営計画づくりの段階から女性の参加を促すこと、死角のない避難所配置や誰もが安心できる空間づくりに今後さらに注意していきたい。


教育委員会:指導主事の先生
夏に能登半島地震で被災した女性の話を聞かせてもらった。その時の話とつながり「避難所運営における女性視点の欠如」、そして避難所マニュアル策定段階からの女性参画の必要性をあらためて実感した。


教育委員会:指導主事の先生指導主事の先生
学校現場では人権教育を基盤に、「命を大切にする」「自他を大切にする」という力を性教育を含め発達段階に応じて育むこと、またコミュニティスクールを軸とし、学校・家庭・地域が一体となった見守り体制を強化していきたい。


加えて、神島小中学校学校運営協議会ではサテライト会場を設けてくださり、学校運営協議会・PTA・先生方から15名が参加されました。

小規模校ならではの課題として、「児童がクラスに一人だけという状況がどうしても発生してしまう」という相談がありました。

これに対して岸田先生からは
「誰もがいつでも入ることができる、見ることができるという環境づくりを心掛けて」というアドバイスが共有されました。

神島小中学校学校運営協議会がサテライト会場をつくって保護者や地域の方々の参加を呼び掛けてくださいました(写真提供:神島小中学校学校運営協議会)

市内にはさまざまな規模や特色を持つ学校があるため、一律の「こうすべき」では対応が難しい現場もあります。だからこそ、このような対話の場を通して課題を共有し、それぞれの学校や地域の状況に応じた改善策を話し合って考えていくことが重要です。

先生おすすめ参考資料

WINGS京都「みんなの防災カード」(購入が必要です)
KYOTO GRAPHIE (2021) :キッズプログラム(子どもの安全ガイドも)(岸田先生のメッセージが掲載されています)
内閣府 男女共同参画局:災害対応力を強化する女性の視点~男女共同参画の視点から~
(備蓄から復興期までのフェーズに応じたチェックシートがあり、とても便利です)

参加者の感想まとめ


講座終了後、参加者からは、下記のような多くの気づきや感想が寄せられました(PC画面ではPDFをご覧いただくことができます)


本事業は、鳥羽市と認定NPO法人SEEDS Asiaが締結した協定に基づく共同事業「地域への愛着を基盤とした地域と学校の連携による学校安全事業]の一環として実施し、一般財団法人日本民間公益活動連携機構(JANPIA)およびジャパン・プラットフォーム(JPF)による支援を受けています。


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過去の防災リレー講座の報告記事は下記のサイトからご覧いただくことができます。