鳥羽市 about toba

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鳥羽市の事業概要

1. 事業を開始したきっかけ

本事業は、2018年度に鳥羽市立鳥羽小学校からのご相談を受けたことをきっかけに始まりました。
最初は南海トラフ巨大地震への備えとして防災講演を実施し、その後「命をつなぐ・鳥羽をつなぐ 鳥羽っ子学習」のカリキュラム支援を通じて関わりを深め、2025年3月に鳥羽市との連携協定:「地域への愛着を基盤とした地域と学校の連携による学校安全事業」を経て、現在は市全体を対象とした取り組みへと広がっています。

私たちは、国内外の災害や事故が発生する度に、子どもたちの命と学びを守るには、学校だけでなく地域の力が不可欠であることを教訓として学んできました。また、大規模災害時には「自助・共助・公助」に加え、NPOや大学などの外部支援、いわゆるネットワークによる「N助」の重要性も高まります。このN助の構築には災害前のつながりが有効であることも過去の災害が明らかにしています。

災害や事故の被害を防ぎ、最小限にとどめるには、学校と地域などが連携して学校防災を進める体制づくりが必要です。しかし、その実現には多くの困難が伴うことも事実です。

特に、鳥羽市は、2024年に公表された「消滅可能性都市」の一つにも挙げられており、人口減少と巨大災害という複合的なリスクに直面しています。こうしたなかで地域の防災と持続性を支えるには、「このまちが好き」「このまちを守りたい」と思えるような、子どもたちの地域への愛着(Place Attachment)を育むことが何より重要だと私たちは考えています。

2. 鳥羽市の特徴と防災課題

鳥羽市は、伊勢志摩国立公園内に位置し、風光明媚な自然に恵まれた美しいまちです。
風味豊かな海苔、伊勢海老やアワビなどの海の幸に恵まれ、2025年現在でも日本一の海女さんの数を誇るなど、豊かな海と共に生きる地域文化が息づいています。

一方で、南海トラフ巨大地震の想定震源域に近く、三重県内では最大の津波高が予測されています。リアス式海岸に沿った地形や山間部を抱える地勢に加え、4つの有人離島を含むことで、航路や道路が寸断されれば各集落が容易に孤立する危険性があります。このように、津波・土砂災害・集落の孤立といった多重の災害リスクを抱えています。

さらに、鳥羽市の学校区は非常に広く、子どもたちの通学手段やルートも多様であることが全国的に見ても特徴的です。

近年では、全国的に交通事故・性犯罪・インターネットを介した犯罪など、子どもたちの生活を脅かすリスクも増加し、教職員の働き方改革や地域の防災担い手の減少も重なり、子どもたちの安全を守るための体制や備蓄を含む地域の対応能力の強化が、ますます重要な課題となっています。

3. 事業の内容とめざす姿

本事業は、平時から地域と学校が連携し、子どもたちの安全を共に守る広義の防災力(災害だけではなく、事件や事故を含む)の強化と、防災に関わる計画の地域や学校に応じた改善、そして災害時の備えを両輪で進めるものです。

平時の活動:

  • 学校運営協議会円卓会議を通じた、子どもたちの「地域への愛着」を育む地域間の学び合いの機会創出
  • 学校運営協議会向け災害対応能力強化研修学校安全計画の推進
  • 地域の魅力と多様なリスクを可視化し、地域全体で共有するしくみ(安全マップなど)の整備

災害発生時の支援(協定に基づく事前合意):

  • Wi-Fiやタブレットを活用した安否確認・教育継続支援
  • 学校避難所の運営補助
  • 法律・心理・建築等の専門家と連携した相談支援(ケースマネジメント)

本事業は、鳥羽市前期基本計画および地域防災計画に掲げられている「安全・安心な暮らしの確保」「災害に強いまちづくり」と高い親和性を持ち、行政・地域・学校が一体となって持続可能な地域づくりを実現することを目指しています。

これまで18年にわたり国内外で積み重ねてきた防災・復興支援の経験とネットワークを活かし、私たちSEEDS Asiaは、鳥羽市の皆さまとともに全力で取り組んでまいります。

なお、全市的な取り組みについては、休眠預金活用事業/ジャパンプラットフォーム(JPF)より助成を得て実施しています。